ミーがゆっくりゆっくり登っている横を、次々と抜いて行きます。
(みんな早いなあ…。)
熟年の人たちにも抜かれていくミー。
(そういえば私、徒競走もビリだったっけ…。)
ちょっと惨めな気持ちで歩を進めていきました。
「あ、ミー。」
プーが降りてきました。
「どうしたの?」
「旦那さんがばてちゃったから、ストック借りてきてあげるの。」
登山口…
ホテルからのツアー客が戻ってくる頃。
湯釜へ登り始めようとしたら、他の団体客が到着して、草津白根レストハウスのアナウンスが流れていました。
「名物のクマザザソフトに、当店オリジナルベイクドチーズカレーパンをご用意しております。ぜひお試しください。」
「クマザザソフトおいしそうだけど、寒いね。」
「登ってれば温かくなるわよ。」
登り口にはストックの貸し出しがあります。
…
弓池のほとりまで来ました。
「凄く浅いね。」
「底が透けて見えるわ。」
「さざ波が立ってるね。」
「ちょっと寒いけど、水辺は気持ちが良いね。」
「暑い時期だと、熊も涼を取りに来るんだろうね。」
「寒くなってきたから、もう熊出ないかな。」
「冬眠の準備中だろうね。」
「凍ったらスケートできそう。」
「その頃は入山禁止よ。」
明日は「湯釜への第一歩」です。
階段を下に下りていくと、小さな池がありました。
「明治火口だって。チョコレート食べたくなってきた。」
「その明治とは違うわよ。」
「俺の熱いハートを表してるみたいだな。エル、一緒に写真撮ろう。」
「はい、はーい。撮りますよー。」
カシャ
「お熱いですねぇ。」
「もう。バカップルに見られたらどうするのよ。」
「仲良きことは美しきかなだけどね。」
「プーさん、結…
草津白根レストハウスを出て道を渡り、弓池へと下りていきました。
「寒いね。」
「風がひんやりする。」
「みんな湯釜に行っちゃうから、ここは穴場ね。」
「二人っきりだったらもっと良かったね。」
「秋らしくて良いね。」
「ちょっと草紅葉になってるね。」
(寒がりのお祖母ちゃんは、残暑のうちに逝っちゃったんだ…。)
「何か歌でも歌う?」
「え?なんで?」
「ほら、熊対策…