山の木々のはるか上をゴンドラは進みます。
「怖い、怖い。」
ミーは思わず端っこの出っ張りにつかまりました。
「そこつかまって何か意味あるの?」
「大丈夫?また写真撮ってあげようか?」
「大丈夫です。慣れてきました。」
「だんだん紅葉が見えてくるね。」
「綺麗ですね。」
「あ、下に枯れた川があるわ。なんて川かしら?」
「あとで調べてみるね。」
川の名前は…
逢ノ峰を降りてすぐのところにあるリフトの手前に掲示されている地図の前に集まった一行。
「大変だったけど、まだ登り足りないくらい。」
「お母様たちに先に帰っていただいて、本白根に行ってみる?」
「私はさっきの階段で神経擦り減っちゃってヘトヘト。お母様たちと帰るから、本白根行ってきたら?」
「でもエル、今晩草津散策するんだろ?無理するなよ。」
「今日はこれくらいで。私もみんなと…
ミーたちが逢ノ峰を登っている一方、エルのお姑さんとお舅さんは車道をお散歩しながら白根火山ロープウェイ山頂駅に向かっていました。
「湯釜綺麗だったねぇ。」
「そうね…。」
ひんやりとした風が優しく吹いて行きます。
「おまえね、年を取るのはしょうのないことなんだよ。」
「そんなの分かってる。」
「年のこと言われてトゲトゲしくするのは…。」
「私はね、まだまだ頑張りた…
コローンコローン
「こんにちはー。」
「こんにちはー。」
熊鈴を下げた人たちとすれ違いました。
「良い音ね。」
「私たちも付けてくるべきだったかな。」
「欲しーなー。」
また木の階段が始まりました。
「結局木の階段が厄介な山だったわね。」
「標高差がないわりにね。」
下からカップルが上ってきました。ストックは持っていません。
「これずっと…
逢ノ峰山頂を後にして、白根火山ロープウェイ山頂駅方面に下山。
「使ってないリフトって何か物悲しい。」
正面の山肌が削れたところに停止したリフトが見えました。
「プッ。何ポエムみたいなことを。」
「あそこスキー場なのかな。」
ブーン
「キャーッ!」
「また?どうしたの?」
「大きい黒い蜂みたいなのが!」
ブーンとミーの周りにまとわりついてきます。
…