「右にも道があるけど、こっちから下りてきたら怖くなかったのかな?」
「ホテルに戻ったら調べてみるよ。ブチさん、県道まで出てからタクシーで帰る感じで良いですか?」
コクリ
ずいぶん下りるのが楽になって、スイスイ進みます。
「水の音が大きくなってきたね。」
「水生地って書いてたから、水の豊かな所なんだろうね。」
道の脇に滝があったりしますが、のんびりと見ているわけにも…
4時半頃、舗装された道路の所に出ました。
「山道が無事終わったね。」
「ブチさん、タクシー呼ばなくて大丈夫ですか?」
コクリ
実はこの先に車止めがあるので、タクシーは呼べないのです。
「ここで少し休憩にしましょう。」
段差に腰かけました。
「結局ずっと茂みがなかったからさ、もよおしてきたときに困るね。」
「八丁池手前から旧天城トンネルまでトイレがないも…
少し進むと、林道との分岐点に差し掛かりました。
「ベンチあるけど、休んでいられないね。」
「さっきあいさつした人は、先に行ってもう見えないし、バスは諦めた方が。」
「でも日が暮れても困るし、ブチさんが行けそうなら先急ごう。」
コクリ
段差のある細い道をさらに下りていきます。
「ミー、左側滑りそうだから、右側から下りた方が良いよ。」
木の左右に道ができていると…
「ずいぶん時間かかっちゃったね。」
作業が終わったのは午後2時半を回った所でした。
「帰りのバス間に合いそうにないね。」
「八丁池口バス停は3時42分発で、天城峠バス停が4時10分頃だったよ。」
「1時間半で天城峠バス停まで下りればバスで帰れるね。」
「ハイキングマップだと1時間半くらいだったけど…。」
「私は大丈夫です。」
「せっかくフリーパスあるし、バスで帰りた…
八丁池から1時間ちょっとで、目的地の岩尾林道分岐点へ。
「ここから北は国立公園から外れるから調査できるんです。」
「私たちスライドガラスを吊るしますから、ブチさんは休んでいてください。」
空中のブナ花粉を採集するために、木の間にロープを張って、ワセリンを塗布したスライドガラスを吊るします。
「こっち側にはブナないね。」
「ブナの生えてるところが国立公園みたい。」
…