藤棚の先から上り坂になります。
「ゆるい坂って健康にいいんでしょ?」
「そうそう。ここも坂さんぽリストに入れれるねえ。」
報徳二宮神社ののぼりと鳥居が見えます。
「あの神社、カフェとかあるんだよね。」
「お土産コーナーが素敵だったわ。チラッと覗いてみる?」
「いいよ、また今度で。」
「後日母とお花見に来てさあ、お堀は蕾でもきんじろうカフェは桜咲いててさあ。」
…
御茶壷橋を渡って城外へ。
「おみやげ屋さん!おみやげ屋さん!」
「ネットショッピングで済ませなさい。」
「あ、おみやげ屋さんの前にマップがある。」
藤棚交差点を渡り。
「報身寺と圓福寺も載ってる。」
「小田原七福神には「七」が付いてるのね。」
「圓福寺のそばにかまぼこ通り!かまぼこ通り!」
「お兄ちゃん待たせられないよ。」
「まだまだ小田原も廻りきれないわね…
坂の途中で。
「滑り落ちた本丸の石垣…」
「これ落ちたやつなのかあ。」
「やっぱり関東大震災で?」
「ええと… そうだって。」
「どれどれ… ええっ!城内に御用邸があって震災で壊れたんだって!」
「御用邸って日光で行ったよね。」
「お揃いの傘でお散歩!田母沢御用邸ね。」
「愛子様グッズ買ったなあ。」
日光彫のゴヨウツツジのお盆は宝物です。
明日は「…
人心地つき、気を取り直すミー。
「抹茶飲もう、抹茶飲もう。」
「もう12時半過ぎたよ。」
天守閣登城口の方から南入口へ下りて行きます。
「でもさあ、キー、慣れちゃえばさあ…」
「なに遣り手ババアみたいなこと言ってるのよ。」
「ミーが泣きながらミミに連れて来られた時ね…」
「ああ、高1の春にねえ。」
「私、ちょっとデート?して…キスされそうになって逃げて来たとこで……
玉砂利に足を引きずり歩きます。
(なんか言わなきゃ!なんか言わなきゃ!)
エルを盗み見ようとしたら目が合ってしまい、慌てて視線を逸らします。
(ミー、お茶店にも反応しないのね。)
「ううっ…」
ミーは泣き出してしまいました。
「泣くほど変なことかな?」
「それは違うんじゃない?」
「私、役立たず、役立たずで…」
「役になんか立たなくていいよ。」
…