「2人はお正月に七福神やったんだよね。」
「やったやった。」
「大黒様と恵比寿様はどこだったか覚えてる?」
「ええっと…」
「大黒様は平塚だったでしょう?」
「よく覚えてるねえ!」
「朝日がまぶしかったから。」
「恵比寿様は?」
「ええっと…」
「恵比寿顔とか言ってたよね。」
「あ、クッキー買った後!クッキー買った後!」
「でもなんで?」
「神様って思い出すだけで…
短い参道を上ります。
「べつに、恋人とかじゃなくても… ビジネスパートナーとか…になれるかわかんないけど…」
非性的な連れ合いを求めているキー。
「そっかそっか。」
「年取ってから、茶飲み友達でもね。」
「年取れば枯れてるわけでもないけどさあ。」
「…」
「熟年合コン見たことない?見たことない?」
「嫌な知ったかぶり。」
「わあ!ゴメン、ゴメン!」
「…私…
「奥も少し上りなんだね。」
「軽い上りスキスキ!」
「金の鳥居って金運とか?」
「大黒様と恵比寿様で、商売繁盛・家内安全・開運招福だって。」
奥で、コン、と木が鳴ります。
「鳴らすのやりたいなあ…。」
「SDみさんぽルールでしょ。」
先客が下りてきます。
ペコリ
ペコリ
「出会って一瞬で別れちゃったねえ。」
「すれ違っただけじゃん。」
「あ…
今度は拝殿向かって右奥へ。
「土俵だ。」
「大鵬、大鵬!」
「大鵬と関係あるのかな?」
「立ち入り禁止だから立て札が読めないね。」
この日は土俵の南側で工事中。
「あとで調べればいっかあ。」
「土俵に花屑が吹き寄せられてるね。」
「あの木は、もう葉桜かぁ…」
「入口のとこが見頃だったねえ。」
大鵬親方が土俵を開き、還暦を機に土俵を大鵬と名付けました。
…
黒龍の北参道から拝殿へ。
「寅と富士山の絵馬が飾ってあるねえ。」
宮彫に鳳凰と龍の透かし彫り。
「これが金龍?」
「あの中のじゃない?」
「あ、ぐるぐる巻きついてるねえ。」
「顔、隠れてる…」
「アップで撮るのが罰当たりっぽいこともあるしさあ。」
「そうなんだ。」
「あ、金龍のご利益って何だっけ?」
「……?」
「いっか、いっか。」
チャリン、パン…