「海なんか見えないけどなあ。」
「丘に人がいるな。」
1ヘクタールの公園に、犬のお散歩する人ひとり。
「また上るのか。」
「これくらいゆるい坂がねえ、たぶんねえ、ヘルシーなのでねえ。」
「レイだってお散歩させたほうが調子いいのよ。」
「犬かよ。」
「HAHAHAHA!」
ガサッ、ガサッ、地面の枯葉を踏んで行き、
「海よ!」
「城も見える。」
「わあ!…
駐車場を通りかかり。
「慰霊塔北側公衆便所は廃止なんだねえ。」
「周辺施設トイレが、施設開場時は使用可能です」
2時過ぎに、城山公園 海と城の見える丘へ。
「おはな…?」
「お花見は静かにと書いてあります。」
「HAHAHA! 日本の花見はすごい。」
「レイさんならねえ、いいお酒がねえ。」
「泥酔するならラム酒で十分だ。」
「あれは何?」
「慰霊碑です…
坂を上り切って。
「あ、大堀切の西堀なのかあ。石積んであるもんなあ。」
その案内板となりに、
「ゆりかごのうた?」
「白秋作詞の子守歌です。」
「ああっ! 「白秋童謡の散歩道」なのかあ!」
いくつも案内板を見落としていて。
「そんな歌詞だれでも書けそうだけどな。」
「HAHAHAHA!」
「あんまり白秋白秋言ったからさあ、 嫉妬だったりしてさあ。」
…
「城山公園に沿って時計回りに進んで、東に行けば小田原駅です。」
また北へ上ります。
「もう足が痛くて痛くて!」
「同感だ。」
「後ろの足を、こうやって、前の足に添えて歩くと、足が休まりますよ。」
「面倒くさいけどなあ。」
「やってみましょうよ。」
「先に出す足は変えていいのか?」
「ご自由に。」
出して添えて、出して添えて…
「ブハハ! なんか笑っちゃ…
「三面大黒天って書いてあったけどさあ。」
「べつに普通だな。」
「嫌な雲が増えた。」
「4時から雨だった?」
「いま2時前だから…」
「平塚まで自転車で1時間半としたら、あと30分で駐輪場まで戻れば。」
「全部は無理だったかあ。」
「五福神だったな。」
「振られないで帰れますように。」
帰りは階段わきの坂道を下りました。
明日も続きます。