「フ、フクちゃんの方がですねえ、私より人付き合いがですねえ。」
カラスが、カ、カ、カ、カ、カ……
「ゴメンネ、詮索しちゃって。」
「いえ。」
「べつに以前の見合い相手のことですよ、ミー達の友人で。」
「そうなんだ。」
「花火大会の時にお知り合いを集めてお見合いイベントなさったのよ。」
「わー!動画とかある?」
「無いですよ!」
「お散歩ブログに書きましたけどねえ…
「結構ねえ、キツそうなお姉さんみたいですけどねえ。」
「お会いしたことも無いのにな。」
「聞いた話をねえ、総合しただけですけどねえ。」
「実際、キツい人です。」
「アハハハ!」
「フクちゃんの方がねえ、お姉さんと上手く行きそうだねえ。」
枯葉を踏む音ばかりが響きます。
(わあっ!しまった、しまった!)
「フクちゃんの方が?」
明日も続きます。
中山から人の疎らな方へ。
「ハル君お守り下げてるんだ。」
「あ、はい。」
「カイロ貼る時に出ちゃったのね。」
ヒモを直してあげるフクちゃん。
「カワイイなあ。」
「ハハ……」
「お義姉さんがとっても弟思いで、色々気遣ってくださって。」
「小姑さん怖くないの?」
「全然そんなことないんですよ。」
明日も続きます。
中山頂上。
「歩きながらお話なさったら?」
「腰を落ち着けてと思ったんだけど。」
「多分ですねえ、散歩のほうがねえ、いい感じではないかとねえ。」
「じゃ、せっかくだから遠回りしよう。」
その先の通路に人垣が出来ています。
「ここからも見える様ですな。」
「さっきのあずまやもさあ、特等席みたいでさあ。」
あずまやで待つ人は見かけませんでした。
「餅でも焼け…
中山の頂上へ。
「君はアメリカで何がしたいの?」
「今回幸運にもアメリカ行きのチャンスを頂けましたが、正直「どうしてもアメリカで」と言う考えではなくて。」
「本音を言うと、うちの工場に残って欲しい。でもハルさんが羽ばたけるのならずっと待ってるから!」
「フクちゃん……!」
「話題を戻さないとな。」
「やりたいことは、自分が頂けたようなチャンスを他の人にも与えることです。」…