遊歩道の緩い坂を上っていくと、ビルの前に立派な門松がありました。
「わー、門松好きー。」
「…。プー、結構元気そうで安心したよ。」
「うん…。忙しくしてると元気が出てくるの。」
「しばらく落ち込んでても、しようがないんじゃない?」
「私、おじさんたちに頭にきて、お祖母ちゃんの葬儀にも出ずに飛び出してきちゃったんだ。」
「そう…。みさんぽで忙しいのは良いだろうね。ずっと家にいるのは良くないし。」
「お正月もいっぱいお散歩するんだ。」
「私は、親しい人が死んじゃったことってまだないな。」
「人間、死ななくなれば良いのにね。」
「え!そうかな?そんなこと考えたことなかった。」
「終わりがあるから良いんだとも言われてるよね。」
左手の高架を、新幹線がゴーっと音を立てて通り過ぎていきました。
明日は「階段を降りて」です。
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