
「おまたせー。さっぱりしたわー。」

「帰りの電車まで時間あるけどどうする?」

「早めに帰っても良いけど、前取材した時お湯かけ七福神全部回れなかったのよねー。」

「それは遠いのか?」

「帰り道よー。」

「七福神全部にミカコの合格をお祈りしていくか。」
和田寿老人の湯から大通りに出て、駅を目指します。

「あれが東海館か。」
東海館が見える「いで湯橋」に差し掛かると、空高くトンビが舞っていました。

「遊覧船で餌やった時はトンビいなかったのよねー。」

「遊覧船乗らなくても良いのか?」

「今日はもういいわー。土日祝日だと東海館で温泉入れるからまた来たいわー。」

「また来ような。」
アーケード街を通り過ぎ、湯の花通りに入ると、道に弁天様の絵がありました。

「これが七福神か?」

「前はこんなのなかったわー。いろいろやってるのねー。」
布袋に娘の大学合格を祈ってから恵比寿にたどり着くと、カップルが写真を撮っていました。

「他にもお湯かけ七福神やってる人いるのねー。」

「あそこの角を曲がったぞ。」

「あっちは行ったことないわー。」

「ついて行ってみようぜ。」
パチンコ屋さんの先の角をちょっと入ったところでさっきのカップルが大黒天の写真を撮っています。

「こんなところにあったのねー。駅から来ると大黒天様の背中がちょっと見える感じだからわかりにくかったんだわー。」
さらにカップルについて路地裏に入ると、わさび山城屋のところに福禄寿がいました。

「こんなところにいたのねー。」

「これで揃ったのか?」

「あとはメインストリートにあるはずだけど、戻らないとダメかも―。」
そのまま路地裏を進み、湯の花通りに戻ると、パチンコ屋さんの角に毘沙門天がいました。

「これで5つ目だな。」

「寿老人はパン屋さんの前、弁天様は子持ち湯のところにいるわよー。」

「戻らなくても全部回れるようになってるんだな。」
お湯かけ七福神全てにお祈りして駅に着きました。
明日は「エピローグ」です。
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